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パーソナライズとは?意味と種類、実現に必要なデータを解説

パーソナライズ(パーソナライゼーション)とは、顧客一人ひとりの属性や行動、嗜好に合わせて体験を最適化する取り組みである。1対1とセグメント単位という2つの型、必要となる顧客データ、サードパーティCookie規制下の課題、CDPが果たす役割までを解説する。

CDP.com Staff CDP.com Staff 読了目安 1 分

パーソナライズとは、顧客一人ひとりの属性や行動、嗜好にもとづいて、コミュニケーションや顧客体験を個別に最適化する取り組みである。 顧客データを参照できる状態にあれば、どのデジタルチャネルでも実行できる。氏名や住所、購買履歴、購入した商品、嗜好、行動データといった情報が、その材料になる。こうしたデータは接点ごとに分断されていることが多く、CDP(カスタマーデータプラットフォーム)は、これらを一人の顧客像として統合したうえで、実行チャネルへ渡す役割を担う。

パーソナライズの2つの型

どこまで個別化するかによって、取りうる手法は変わる。1対1のパーソナライズは、その顧客固有の情報に直接ひもづけて内容を組み立てる。従来は運用の手間が制約になっていたが、AIパーソナライズによって大規模に運用できるようになってきた。もう一方は顧客セグメンテーションを用いる手法で、属性や行動の条件でセグメントを定義し、条件に合致した顧客へ共通の体験を届ける。

パーソナライズの深さにも幅がある。メールの書き出しに氏名を差し込むだけのものもあれば、直近の購買やWebサイトでの閲覧履歴を踏まえて本文そのものを組み立てるものもある。具体的には、次のような施策が該当する。

  • 過去の購買やWeb閲覧履歴にもとづく商品レコメンデーション
  • 訪問者の地域に応じたWebサイト上の商品プロモーションの出し分け
  • 特定の製品を保有する顧客セグメントへのメールオファー
  • 購入を検討している商品のセール情報を知らせるSMS通知
  • 購入後の連絡による、満足度や不具合の確認

どの施策を、どの顧客に、どのタイミングで実行するかという判断そのものを自動化する段階に進むと、AI意思決定(AIディシジョニング)が関わってくる。

パーソナライズを支えるデータ

多くの消費者は、日常的に接するブランドに何らかのパーソナライズされた体験を期待している。マッキンゼー(McKinsey, 2021)の調査では、76%の消費者が、ブランドの検討を後押しする要因としてパーソナライズされたコミュニケーションを挙げ、78%はそのようなコンテンツがあることで再購入の意欲が高まると答えている。顧客が求めているのは、ブランドが自分を理解していることと、関係のないメッセージやオファーが届かないことである。それを満たせるかどうかは、手元にどのデータがあるかで決まる。

ゼロパーティデータとファーストパーティデータは、顧客とのやり取りから直接集めた情報である。顧客がパーソナライズに使われることを想定しているのは、まずこの二つだ。セカンドパーティデータとサードパーティデータはパートナーや外部事業者から取得するもので、出所と精度にばらつきがある。ファーストパーティデータと突き合わせて裏付けを取らないまま、パーソナライズの根拠にするのは避けたい。

どこまでパーソナライズすべきか

いつ、どこで、どのようにパーソナライズするかは、顧客体験(CX)を設計するうえで常に議論の的になる。踏み込みすぎた体験は、行動を追跡されているという印象を顧客に与える。逆に、メールに氏名を差し込むだけの施策は、パーソナライズと呼べる水準には届かない。

判断の目安になるのは、そのデータを渡した覚えが顧客の側にあるかどうかである。顧客が自ら登録した情報や、自社サイトでの行動にもとづく提案であれば、なぜその内容が届いたのかを説明できる。一方、顧客の知らないところで収集された行動から推定した提案は、精度が高いほど不信を招きやすい。

サードパーティCookie規制下のパーソナライズ

企業は長年パーソナライズに取り組み、成果には差が出てきた。そこへ、サイトをまたいで消費者を追跡してきたサードパーティCookieがSafariとFirefoxで標準的にブロックされるようになり、前提が変わった。追跡データを補う手立てとして、ブランドは顧客が自ら提供するゼロパーティデータとファーストパーティデータの収集と活用へ軸足を移している。

扱える顧客データが増えるほど、リアルタイムパーソナライゼーションやオムニチャネルマーケティングによって、顧客に理解されていると感じてもらえる余地は広がる。反対に、パーソナライズに取り組まない企業は、同じ商品を扱う競合が一人ひとりに合わせた体験を提供するなかで、比較検討の段階で選ばれにくくなる。

はじめの一歩:活用事例と手元のデータを合わせる

パーソナライズがつまずくのは、掲げる目標の高さよりも、着手の順番のせいであることが多い。デモで見栄えのする活用事例を、その裏にあるデータが整う前に立ち上げてしまうのだ。商品レコメンデーションの表示枠には、閲覧履歴と購買履歴が進行中のセッションにひもづいている必要がある。ライフサイクルメールには、直近の購買情報に加えて、前日に購入した人へは二度と配信しないための配信除外のルールが要る。購入後の確認連絡には、顧客プロファイルに出荷とサポート対応の状況が記録されている必要がある。各活用事例を、実際に維持できるデータと対応づけて選べば、稼働させた一つが、次の一つの構築コストを下げてくれる。

活用事例最初に整えるもの採る価値がある理由省略したときに起きること
メールでのライフサイクル配信購買履歴と、直近に購入した顧客を除外するルール運用が安価で、すでに関心を示した人に届く同じウェルカムオファーが二回、または購入後に届く
サイト内の商品レコメンデーションセッションにひもづけた閲覧と購買のデータ(夜間バッチのファイルではない)すでに費用を払ったトラフィックを、訪問あたりの収益に変えるレコメンデーションが訪問者より一歩遅れ、壊れているように見える
購入後のフォローアップ顧客プロファイル上の出荷状況とサポート対応の状況顧客の維持は獲得より安く、その始点になる商品が届く前に「注文はいかがですか」のメールが届く
ペイドメディアのオーディエンス一回限りのリスト書き出しではなく、統合プロファイルから同期したセグメント広告費が、実在の顧客に似た人へ向かい続ける広告が昨日購入した人を追いかけ、その費用をブランドが払う

広告には、別の注意が要る。サイト内やアプリ内のパーソナライズは、接点の向こうにいる人が誰かをこちらが知っているため、1対1で行える。ペイドメディアでは、アドエクスチェンジ(広告取引所)がミリ秒単位でどのインプレッションを買うかを決める。そのとき分かっているのは、インプレッションに付いたセグメントだけである。広告のパーソナライズは、既定ではセグメント単位の施策と考え、1対1のチャネルとは別に測定する。その結果を、1対1のチャネルの期待値の基準にしない。

きちんと回る活用事例が一つあれば、中途半端な五つに勝る。配信除外が正確に機能し、実在のホールドアウト(施策を適用しない比較対象の顧客群)を備え、明確に名指した成果を測定した一つのライフサイクルメールは、つながりの弱い実験を四半期にわたって回すよりも、顧客について多くを教えてくれる。そしてその実績が、次の投資を支える根拠になる。

パーソナライズの取り組みを停滞させる失敗パターン

停滞する取り組みの大半は、クリエイティブの質とは無関係な、運用上の理由で動けなくなっている。以下の失敗パターンには、いずれも既知の対処がある。

失敗パターン起きていること対処
プロファイルのデータが古いオファーが、顧客が返品した商品や解約したプランを参照したままになっているデータソースごとに鮮度の基準を定め、信用できなくなるほど古いプロファイルではパーソナライズを配信しない
識別情報の分断同じ人物が三つのプロファイルに分かれて記録され、ウェルカムメッセージを三回受ける同一人物であることに依存する活用事例を増やす前に、名寄せを済ませる
チャネル単位の施策にとどまったパーソナライズメールの担当チームだけがパーソナライズしており、Webサイト、アプリ、サポートのスクリプトは無関係のままチャネルより上の層にパーソナライズのロードマップのオーナーを置き、同じプロファイルを全チャネルで使い回す
体験の裏に同意への配慮がないパーソナライズは機能していても、顧客から「何を知られ、どう入手されたのか」と問われた途端に説明が持たない同意と設定のデータを、体験に添付する但し書きではなく、体験への入力として扱う
ローンチの時点で成功と宣言するパイロットの段階で改善幅が報告され、全展開されたあとは、誰も結果を確認しない展開済みの全活用事例を、次の節の測定の規律の下に置き、期日を決めて見直す

この一覧に含まれていないものに注目してほしい。ツールの選定である。チームがつまずくのは、ツールが制約になるよりずっと手前の、データの鮮度、識別情報の管理、所有者の所在、同意の段階である。同じ顧客が三つのプロファイルに分かれたままの取り組みを、プラットフォームの選び直しは救えない。この部分を先に固めれば、ツールの議論は窮余の策ではなく、通常の調達の判断として進められる。

パーソナライズが機能しているかを測る方法

測定を誠実にする仕組みがホールドアウトである。パーソナライズされた体験を受けない、規模の小さい比較可能な顧客の群を残しておく。それ以外の方法は推測でしかない。ホールドアウトがなければ、報告される改善幅は交絡したままである。レコメンデーションの表示枠を見た顧客はもともと閲覧が多く、季節の変わり目だったという可能性が常に残る。公開前に、効果を判定する期間を決めておく。消耗品なら再購入のサイクル、アパレルなら一季、契約型のソフトウェアなら契約のサイクルである。

測定の手間を無駄にする失敗は、主に次の二つである。

  • 成果ではなく反応を測る。 クリック率は、ほとんど何を変えても動く。各活用事例を一つの主要な成果(再購入率、セッションあたりの収益、一定期間後の維持率)にひもづけ、反応系の指標は診断用と位置づける。証拠としては扱わない。
  • 変更を重ねて、どれも切り分けない。 五つのパーソナライズの変更が同じ四半期に投入されると、どの結果もどの変更にも帰属させられない。変更を段階的に投入するか、変更ごとにホールドアウトを設け、次の判断を勢いではなく証拠に基づかせる。

変更と数字の間には時間差を織り込んでおく。パーソナライズが動かすのは顧客の次の意思決定であり、それを証明するデータはその意思決定の後に届く。毎日ダッシュボードを読む測定計画は、行動につながる結論を何も出せないで終わる。実務的な基準はこうだ。回しているすべてのパーソナライズの活用事例が、主要な成果、ホールドアウト、判定日を明示できること。この三つに答えられないなら、それはパーソナライズではなく、飾りである。

すべての活用事例に、開始日と同じく必ず終了の条件を与えたい。二つの判定期間を通してもホールドアウトに勝てない活用事例は、誰も聞いていない問いに答えている。誠実な対応は、それを引退させ、工数を別の施策に振り向けることである。失敗した活用事例を早く引退させることは、取り組みの数字を社内で信用させ続けることにもなる。報告された数字が検証に耐える限りチームはパーソナライズに予算を出すが、一つの水増しされた結果は、十回の正直な失敗よりも多くの信頼を失う。

エージェンティックAIがパーソナライズをどう変えるか

これまでのパーソナライズの仕組みは、提案するか順位をつけるかのどちらかだった。モデルが選択肢を採点し、ルールか人が選んでいた。エージェンティックAIはこの連鎖を一つにまとめる。あらかじめ定めたガードレールの範囲内で、システムが体験を計画し、複数のチャネルにわたって実行し、反応を見て調整できる。パーソナライズにとっての実際上の影響は、一人の顧客あたりの意思決定の数が、キャンペーンカレンダーに縛られなくなることである。

変わらないのは土台の部分である。エージェントはプロファイルを根拠に動く。不正確なプロファイルは、機械ならではの速さで、確信度の高い間違いを生む。だからこそエージェンティックパーソナライズは、前の節までに述べたのと同じデータの規律の上に立ち、エージェンティックCDPが狙うのは、エージェントが動ける、正確で同意を得た一つのプロファイルを用意することである。ルールベースのパーソナライズのためにプロファイルの鮮度を保てないチームは、エージェントのために保てるわけがない。

FAQ

パーソナライズとパーソナライゼーションは何が違うか

意味は同じで、どちらも顧客一人ひとりに合わせて体験やコミュニケーションを最適化する取り組みを指す。 パーソナライズは英語の動詞personalize、パーソナライゼーションは名詞personalizationをもとにしたカタカナ語である。「パーソナライゼーションエンジン」「リアルタイムパーソナライゼーション」のように複合語として定着した名称では、長い形がそのまま使われている。

パーソナライズとカスタマイズの違いは何か

パーソナライズは、顧客データと行動にもとづいてブランド側が自動的に体験を最適化する仕組みであり、カスタマイズは、顧客自身が設定や好みを手動で調整することを指す。 パーソナライズはAIやアルゴリズムで顧客が求めるものを予測し、カスタマイズは選択の主導権を顧客に渡す。両者は排他的ではなく、組み合わせて使える。

AIを使うとパーソナライズの何が変わるか

AIが加わると、セグメントごとに定めた条件ではなく、顧客一人ひとりについての予測を根拠に、届ける内容を絞り込めるようになる。 AIパーソナライズは、購買履歴や閲覧履歴から次の購入や解約の可能性を顧客ごとに予測し、商品、オファー、配信タイミングの候補に順位をつける。予測モデルはプロファイルを学習データにするため、同じ顧客が複数のプロファイルに分かれていれば、その断片を別々の顧客として学習する。予測の精度が名寄せの品質に左右されるのは、このためである。

中小規模の企業でもパーソナライズは始められるか

始められる。メールでの氏名の差し込みや、購買行動によるメールリストのセグメント分けといった基本的な施策は、大きな初期投資なしに着手できる。 パーソナライズ機能を備えたメール配信ツールや、レコメンデーションを追加するWebサイトのプラグインを使えば、閲覧履歴にもとづく商品レコメンデーションまで踏み込める。まずは自社サイトとメールから得られるファーストパーティデータに絞るのが現実的である。

パーソナライズにはどのようなプライバシー上の懸念があるか

主な懸念は、データの利用目的が説明されていないこと、外部事業者へのデータ提供、情報漏洩の三つである。 顧客は、必要以上のデータが集められることや、想定していない用途に使われることを警戒する。対処には、プライバシーポリシーの明示、明確な同意取得の仕組み、顧客が自分のデータを確認し削除できる手段、パーソナライズを顧客にとって価値のある範囲にとどめる運用が要る。

パーソナライズの効果が見えるまでどのくらいかかるか

単純な活用事例なら数週間、統合データの上に築く取り組みなら四半期単位である。 メールに氏名を差し込む、リストをセグメントに分けるといった作業は数日で済む。サイト内のレコメンデーションや、実際に機能する配信除外のルールのように、つながったプロファイルに依存する活用事例は、その前段のデータ基盤の整備が先で、こちらは月単位の作業である。評価は取り組み全体で一つの期間で行わず、活用事例ごとの判定期間で行う。

パーソナライズにCDPは必要か

必要ない。CDPはパーソナライズを拡大しやすくするが、始めるための前提条件ではない。 今日からでも、単一のツールでパーソナライズは始められる。メール配信ツールの購買セグメントでも、オンラインストアの注文履歴でも足りる。CDPが本来の価値を発揮するのは、顧客データが互いに連携しない複数のツールに散らかり、全チャネルの背後に一つのプロファイルと一つの判断層が要るときである。野心が膨らんだときではなく、分断が制約になったときに導入する。

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CDP.com Staff
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