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Treasure AI(旧Treasure Data)とは?特徴と沿革

Treasure AI(旧Treasure Data)は、2011年創業のCDPから、AIエージェントが実行までを担うプラットフォームへ移行した。2026年4月のリブランド、アーキテクチャ、主要プロダクト、アナリスト評価、他のCDPとの違いを解説する。

CDP.com Staff CDP.com Staff 2 min read

Treasure AI(旧Treasure Data)とは、あらゆるソースから顧客データを統合し、チャネルをまたいで名寄せを行い、パーソナライズ、メッセージング、意思決定をAIエージェントが自律的に実行するAgentic Experience Platform(AIエージェントが顧客体験の実行までを担うプラットフォーム)である。人間は創造性と戦略的な判断によって、その方向を導く。 このプラットフォームは、初期のCDP(カスタマーデータプラットフォーム)の一つから出発し、CDP、オムニチャネルメッセージング、AIを一体化してCustomer Intelligence Loop(顧客データの収集・統合・活用を継続的に回す仕組み)を回し続けるシステムへと発展してきた。

Treasure AI StudioのWeb画面。対話型のAIアシスタント、オーディエンス作成やデータパイプライン操作のクイックアクション、顧客ジャーニー分析やキャンペーンのクリエイティブ案などの進行中プロジェクトのカードが並んでいる

開示: cdp.comはTreasure Data(現Treasure AI)が運営している。本稿は他のベンダープロファイルと同じ編集基準に沿って書いているが、読者はこの関係を踏まえたうえで読んでほしい。すべてのCDPベンダーの横並び比較はCDP Vendor Comparison Guideを参照してほしい。

沿革

Treasure Dataは2011年、カリフォルニア州マウンテンビューで創業した。当初はログデータとビッグデータ分析を扱うクラウド型のデータ管理プラットフォームだった。その後、事業の焦点を顧客データへ移し、大規模なデータ取り込み名寄せオーディエンスのアクティベーションを支える基盤を構築していった。これが同社のCDPになった。

主な出来事は次のとおりである。

出来事
2011カリフォルニア州マウンテンビューでビッグデータ管理プラットフォームとして創業
2013エンタープライズ向けの顧客データ管理へ事業を拡大
2018Arm Holdings(ソフトバンクグループ)が約6億ドルで買収し、エンタープライズ市場への展開が加速
2020Forrester Wave(Customer Analytics Technologies)でLeaderに選出
2022Forrester Wave(CDP)でStrong Performerに選出
20242024年版Forrester Wave(CDP)でLeaderに選出。データ基盤の強さとエンタープライズ規模での拡張性が評価された
2026Treasure DataからTreasure AIへリブランドし、Agentic Experience Platformを発表
2026IDC MarketScape: Worldwide AI-Enabled Customer Data Platforms for B2C UsersでLeaderに選出(Doc #US53952526)
2026同 B2B Users部門でもLeaderに選出(Doc #US53952326)。B2CとB2Bの両方でLeaderに選ばれたのは、SalesforceとAdobeを含む3社のみ

2026年時点で、Treasure AIは小売、金融サービス、ヘルスケア、自動車、消費財、メディアなど、400社を超えるエンタープライズ企業に導入されている。プラットフォームが扱う統合プロファイルは、全世界で数十億件に達する。

Treasure DataからTreasure AIへのリブランド

2026年4月20日、Treasure Dataは正式にTreasure AIとなった。ドメインはtreasuredata.comからtreasure.aiへ変わり、製品カテゴリーも「Customer Data Platform」から「Agentic Experience Platform」へ移っている。

このリブランドは、プラットフォームが担う役割の構造的な変化を反映している。Treasure Dataは、人間が統合された顧客データにアクセスしてマーケティング上の判断を下すためのシステムだった。Treasure AIは、AIエージェントが統合された顧客データにアクセスし、判断と実行までを自律的に行うためのシステムとして設計されている。人間が担うのは戦略、創造性、ガードレールである。

移行を特徴づける変化は3つある。

  1. データのプラットフォームから体験のプラットフォームへ。 従来のCDPが担っていたのは、データ取り込み、統合、オーディエンスのアクティベーションだった。新しいプラットフォームはここに、ネイティブなオムニチャネルメッセージング(メール、SMS、モバイルプッシュ通知、アプリ内メッセージ、LINE)、AI意思決定リアルタイムのパーソナライズを加えた。Customer Intelligence Loopの段階ごとに別々のベンダーをつなぎ合わせる必要がなくなる。

  2. 人間中心からエージェント中心のアーキテクチャへ。 主たるインターフェースは、ダッシュボードとクエリビルダーから、MCP(Model Context Protocol)、CLI、API、あらかじめ用意されたエージェントスキルを通じて動くAIエージェントへ移りつつある。戦略の方向づけは人間が続けるが、規模を伴う実行はAIエージェントが担う。

  3. バッチ処理のサイクルから継続的なループへ。 CDPはセグメンテーションを日次や週次のバッチで回していた。Agentic Experience Platformは、収集、統合、理解、意思決定、エンゲージメントの5段階を数分単位で回し、エンゲージメントの結果が次のサイクルへ戻る。

既存のAPI、SDK、ワークフローは後方互換性を保っている。リブランドは製品の進化であり、既存の連携を壊す移行ではない。

プラットフォームのアーキテクチャ

Treasure AIは、コントロールプレーンとデータプレーンを分離したハイブリッド構成を採る。

Treasure AIのアーキテクチャ図。統合プロファイルとガバナンス、AI意思決定を担うコンテキストレイヤー(iCDP)、エンゲージメントやパーソナライズなどのアクティベーションレイヤー、マーケターとアナリスト向けのスーパーエージェントレイヤー、Treasure AI Studioのインターフェースレイヤーの4層で構成される

Treasure AIのAgentic Experience Platformのアーキテクチャ。コンテキストレイヤー(iCDP)はコンポーザブルであり、その上にアクティベーション、AIエージェント、複数のインターフェースが載る。

  • コントロールプレーン(Treasure AI側):名寄せ、オーディエンスセグメンテーション、AI意思決定、メッセージングの実行制御、AIエージェントの実行環境。Customer Intelligence Loopが回るマネージドなレイヤーである。

  • データプレーン(顧客側の基盤):顧客データは自社のデータウェアハウスに置いたままでよい。SnowflakeDatabricksBigQueryなどが対象になる。Treasure AIは、データを独自ストレージへ移すことなく、顧客のウェアハウスに対して読み書きを行う。

このハイブリッドなデプロイモデルが応えているのは、CDP市場で長らく両立の難しかった2つの要求である。コンポーザブルCDPはデータをウェアハウスに置いたまま扱えるが、AIのループをAPIの応答速度でリアルタイムに回すことはできない。パッケージ型CDPは高速に動くものの、すべてのデータを独自ストレージへ複製する必要がある。Treasure AIは、ウェアハウス上にデータを残したまま、低レイテンシーでのプロファイル参照とリアルタイムのアクティベーションに向けて設計したマネージドなコントロールプレーンを組み合わせ、この両立を狙っている。

主要プロダクト

Treasure AI Studio

Treasure AI Studioは、このプラットフォームの主たるインターフェースであり、複数の環境で提供されている。

  • Web:マーケター、アナリスト、データチームが使うブラウザ上のワークスペース
  • デスクトップ:macOSとWindows向けのネイティブアプリケーション
  • モバイル:外出先での状況確認と承認に使うiOSおよびAndroidアプリ
  • CLI(Treasure Code):エンジニアとデータチームがプラットフォームをプログラムから操作するためのコマンドラインインターフェース。Treasure CodeはClaude Codeを基盤としており、顧客データへのアクセス、スキーマの確認、パイプラインの操作をターミナルから行える
  • 音声(Treasure AI Voice):ハンズフリーでの問い合わせとメモの記録に対応するAI音声インターフェース

Studioは、顧客データへの自然言語でのアクセス、セグメントの作成、キャンペーン管理、分析を提供する。SQLを書かず、エンジニアの手も借りずに、技術者以外の担当者が顧客データを問い合わせ、そのまま行動へ移せるように設計されている。

Treasure AI Studioのセグメント比較画面。2つのセグメントを比較する対話型の問い合わせに対し、ベン図、セグメントの規模、特徴的なシグナル、推奨アクションが表示されている

Treasure AI Studioでのセグメント比較。自然言語の問い合わせからオーディエンスの重なりを分析し、次に取るべきアクションまで提示する。手作業のSQLやBIの手順を経ずに、AIエージェントが示唆を引き出す例である。

AI Super Agent

AI Super Agentは、Customer Intelligence Loopの中の特定の業務を自動化する、領域特化のAIエージェントである。

  • マーケター向けのAI Super Agent:オーディエンスの発見、キャンペーンの作成、ネクストベストアクションの提案、チャネルを横断したアクティベーションを担う。ウィンバックのセグメントを何時間もかけて手作業で組む代わりに、マーケターは「第1四半期に購入したが、直近60日間反応がない顧客を見つけてほしい」と目的を言葉で伝える。エージェントがセグメントを構築し、チャネルを選び、施策を実行する。

  • データアナリスト向けのAI Super Agent:データの探索、示唆の抽出、レポート作成を自動化する。アナリストが日常の言葉で質問すると、裏付けとなるデータの可視化を伴う構造化された回答が返る。早期アクセスの段階では、ある金融サービス企業のチームが、定型的な顧客関連の問い合わせについてレポート作成の所要時間を3日から60秒へ短縮したと報告している。

これらのエージェントは、統合された顧客データ基盤の上に構築されている。サイロ化したツールに散らばった断片的なデータではなく、名寄せ済みの完全な顧客プロファイルの上で動く。

Treasure AI Studioのモバイル画面。対話型のチャットとクイックアクション、キャンペーン案の作成や売上レポートの分析といった直近の履歴が並んでいる

Treasure AI Studio(モバイル)。iOSとAndroidでも同じ対話型のインターフェースを使い、外出先からキャンペーンの状況確認と承認を行える。

Treasure Code CLIのターミナル画面。Claude Codeを基盤としたAIエージェントがtdxコマンドでデータベースのテーブルを解析し、スキーマの確認とデータの先読みを並行して実行している

Treasure Code(CLI)。エンジニアはClaude Codeを基盤としたターミナル上のインターフェースからTreasure AIを操作し、スキーマの確認、クエリの実行、データパイプラインの管理をコマンドラインのまま行える。

オムニチャネルメッセージング

プラットフォームには、次のチャネルへのネイティブなメッセージング機能が含まれる。

  • メール:AIによる配信時刻の最適化を伴うパーソナライズ済みのコンテンツ(Email Marketing
  • SMS:取引に伴う通知とプロモーションのメッセージ(SMS Marketing
  • モバイルプッシュ通知:iOSおよびAndroid向けのプッシュ通知(Mobile App Marketing
  • アプリ内メッセージ:モバイルアプリの中で文脈に応じて出すメッセージ
  • LINE:LINEへのネイティブ連携。日本国内では主要な顧客接点であり、連携の有無が運用上の差になる

メッセージングを別の顧客エンゲージメントプラットフォームに頼らずプラットフォーム内に持つことで、開封、クリック、コンバージョンといったエンゲージメントの結果が、ベンダーをまたぐレイテンシーを挟まずにCustomer Intelligence Loopへ戻る。

コンテキストレイヤーとしてのTreasure Data(CDP)

プラットフォーム全体の土台にあるのがTreasure Dataであり、コンテキストレイヤーとして機能するインテリジェントなCDPである。ここで顧客データが取り込まれ、名寄せが行われ、統合プロファイルが構築され、ガバナンスのポリシーが適用される。Studio、AI Super Agent、メッセージングといった上位のプロダクトは、すべてこのレイヤーに対して読み書きを行う。

コンテキストレイヤーの主な機能は次のとおりである。

  • データ取り込み:CRM(顧客関係管理システム)、EC、Web分析、POS、サポート、IoTなどのソースから、バッチとストリーミングの両方で取り込む400以上の標準コネクタ
  • 名寄せ:デバイス、チャネル、アカウントをまたいで顧客を同定する、機械学習による確定的マッチングと確率的マッチング
  • 統合プロファイル:行動データ、取引データ、属性データを一つのレコードへ集約する、永続的なCustomer 360プロファイル
  • AI意思決定とモデル予測分析、プロペンシティスコアリング、リアルタイムのシグナル処理。ループの理解と意思決定の段階を支える
  • データガバナンス:フィールド単位のアクセス制御、同意の適用、下流のアクティベーション全体にわたるコンプライアンスの自動化

これは、アーキテクチャ図で「Composable」と示されているレイヤーにあたる。組織はハイブリッドなデプロイモデルを通じて既存のデータウェアハウス(Snowflake、Databricks、BigQuery)へ接続し、データをウェアハウス上に残したまま、名寄せ、AI、ガバナンスをこのレイヤーに任せられる。

コンテキストレイヤーには2つの動作モードがある。Complete CDPは、データの取り込みと保管までをプラットフォーム内で完結させるフルマネージドの構成であり、既存のウェアハウスがなくても200以上の標準コネクタ、名寄せ、セグメンテーション、アクティベーションを利用できる。Composable CDP(Composable Audience Studio)はウェアハウスを起点とする構成で、ゼロコピーの連携クエリによってセグメントのロジックをSnowflake、BigQuery、Databricksへ押し下げ、結果だけを返す。リバースETLも個人情報の複製も伴わない。マーケターは画面上でオーディエンスを構築でき、意図してアクティベーションを行うまで、データがウェアハウスの外へ出ることはない。

この構成は、コンポーザブルCDPが掲げてきたウェアハウス上で完結するオーディエンス構築を実現しつつ、専業のコンポーザブルベンダーが持たないマネージドな名寄せ、AI意思決定、ネイティブなメッセージングを併せ持つ構成である。コンポーザブルCDPベンダーの比較はCDP Vendor Comparison Guideにまとめている。

早期アクセスでの成果

2026年の早期アクセス期間中に、Treasure AIは2件の導入成果を公表している。

  • 大手小売:AI Super Agentを使い、セグメント作成から施策実行までの所要時間を5日間から8時間へ短縮した。手作業の分析では見つからなかった34万件規模の高関心セグメントをエージェントが発見し、コンバージョンは23%向上した。
  • 金融サービス:データ分析チームが、3日かかっていたレポート作成のサイクルを、Treasure AI Studioでの60秒の自然言語による問い合わせに置き換えた。アナリストはデータの抽出ではなく、その解釈に時間を充てられるようになった。

これらはベンダー自身が公表した数値であり、早期段階の導入例である。第三者のアナリストによる検証や、より広い顧客ベンチマークは、プラットフォームが早期アクセスの段階を越えるにつれて明らかになる。

Customer Intelligence Loopの回り方

Customer Intelligence Loopは、顧客データが収集からアクティベーションへ流れ、エンゲージメントの結果が次の判断へ戻るまでを5段階で表した継続的なサイクルである。多くのマーケティングスタックは、このループを分断された手順として回している。ウェアハウスがデータを集め、別のツールが名寄せを行い、さらに別のツールがセグメントを作り、また別のツールがメッセージを送る。受け渡しのたびにレイテンシーが加わり、文脈が失われる。

Treasure AIは、この隙間をなくすための原則としてこのループを据えている。5段階すべてが単一のプラットフォームの中で実行され、人間がバッチ処理を起動するのを待たずに、AIエージェントがループを回し続ける。

収集 → 統合 → 理解 → 意思決定 → エンゲージメント →(収集へ戻る)

Customer Intelligence Loop。収集、統合、理解、意思決定、エンゲージメントの5段階が循環し、中心でAIエージェントが動き、人間が戦略、創造性、ガードレールを担う図

各段階は、プラットフォームの具体的な機能に対応している。

段階起きること対応する機能
収集行動、取引、CRM、サポート、IoTなど、あらゆるソースからデータを取り込む400以上の標準コネクタ、ストリーミングとバッチの取り込み
統合デバイス、チャネル、アカウントをまたいで同一人物を突き止め、統合プロファイルにまとめる機械学習による名寄せ、確定的マッチングと確率的マッチング
理解顧客の行動を分析し、意図を予測し、見込みを数値化する予測分析、顧客生涯価値(LTV)のモデリング、解約予測
意思決定顧客ごとに次に取るべき最適なアクションを決めるAI意思決定エンジン、リアルタイムでのオファーの出し分け
エンゲージメントチャネルを横断してパーソナライズされた体験を届けるネイティブなオムニチャネルメッセージング、外部システムへのデータアクティベーション

メールの開封、購買のコンバージョン、サポートでのやり取りといった結果は収集の段階へ戻り、ループが閉じる。エージェンティックなモデルでは、人間がキャンペーンのサイクルを起動するのを待たず、AIエージェントがこのループを回し続ける。

ただし、週次のバッチでキャンペーンを回していて、リアルタイムやセッション中のパーソナライズを必要としない組織であれば、継続的なループは必ずしも要らない。日次や週次でループを回すコンポーザブル構成でも、より簡素な仕組みで十分な価値を出せる。

ガバナンスとセキュリティ

大量の個人情報を扱うプラットフォームにとって、エンタープライズグレードのデータガバナンスは前提条件である。Treasure AIのガバナンス機能には次のものが含まれる。

  • コンプライアンス認証:SOC 2 Type II、GDPR、CCPAに準拠し、HIPAA対象のワークロードにも対応
  • インフラ:AWS上で稼働し、AIのワークロードにはBedrockを利用
  • 監査ログ:データアクセス、エージェントの動作、アクティベーションの記録を改ざん検知が可能な形で保持
  • 同意管理:すべてのアクティベーションチャネルにわたって同意を一元的に適用
  • データの保存地域:データの国内保管などの要件に対応した、リージョンごとの保存オプション
  • AIとデータの扱い:顧客データをAIモデルの学習には使わない

認証とセキュリティ文書の一覧はTreasure AI Trust Centerにまとまっている。

改ざん検知が可能な監査ログは、規制の厳しい業界でとりわけ意味を持つ。金融サービスヘルスケアの組織は、誰が(あるいはどのエージェントが)顧客データにアクセスし、どの操作を行ったかを証明できる記録を求められる。

Treasure AIが向いている組織

Treasure AIが適しているのは、次のような組織である。

  • Customer Intelligence Loop全体を一つのプラットフォームで回したい:データ取り込み、名寄せ、AI意思決定、アクティベーションを、複数ベンダーの継ぎ足しなしに揃えたい場合
  • AIエージェントに統合された顧客データを扱わせたい:人間向けのダッシュボードにとどまらず、AIが継続的に実行を担う構成を求める場合
  • エンタープライズグレードのガバナンスが必要:SOC 2、GDPR、CCPA、HIPAAへの準拠と、AIエージェントの動作の監査可能性が要件になる場合
  • 複数チャネルを運用している:メール、SMS、プッシュ通知、アプリ内メッセージ、LINE、Webのパーソナライズ、広告のアクティベーションを横断する場合
  • 既存のデータウェアハウス投資がある:ハイブリッド構成により、全面的なデータ移行なしにSnowflake、Databricks、BigQueryへ接続できる
  • 日本やアジア太平洋の市場を対象としている:LINEへのネイティブ連携と、リージョンごとのデータの保存地域に対応している

一方で、別のアーキテクチャの方が適する場合もある。

  • リバースETLだけで足りるチーム:成熟したデータウェアハウスがあり、セグメントのロジックをSQLで持っていて、名寄せもAI意思決定もネイティブなメッセージングも不要であれば、単体のリバースETLツールで十分なことが多い。Treasure AIのハイブリッド構成も同じウェアハウスへ接続できるが、必要以上の機能になりうる
  • 単一のスイートに全面的に統一している組織:AdobeまたはSalesforceのどちらかに寄せている場合、スイートタックスというトレードオフはあるものの、同じエコシステム内の連携の方が緊密になることが多い。ただし、SalesforceとAdobeを併用している組織や、スイート製品と個別最適のツールを混在させている組織では、ベンダー中立のプラットフォームの方が、スイート自身のCDPよりも横断的なデータ統合に向くことが多い
  • データ要件が単純な中小規模の企業:プロファイル数が10万件未満で、チャネルも1つか2つであれば、エンタープライズ向けの機能は過剰になりうる

評価の進め方そのものについては、How to Evaluate a CDP in the AI Eraも参照してほしい。

すべてのCDPベンダーを横並びで比較する(CDP Vendor Comparison Guide)

アナリストによる評価はForrester Wave CDPレポートで確認できる。

FAQ

Treasure Dataはどうなったのか

Treasure Dataは2026年4月20日にTreasure AIへリブランドした。 ドメインはtreasuredata.comからtreasure.aiへ変わり、製品はCDPからAgentic Experience Platformへと発展した。既存の連携、API、SDKは後方互換性を保っており、リブランドは製品の進化であって、互換性を壊す変更ではない。

Treasure AIは他のCDPと何が違うのか

Treasure AIは、CDP、オムニチャネルメッセージング、AIエージェントを単一のプラットフォームに束ね、Customer Intelligence Loopを継続的に回す点が異なる。 多くのCDPはデータ統合とセグメンテーションを担うが、メッセージングとAI意思決定には別のツールが必要になり、コンポーザブル構成では通常4〜5のベンダー(ウェアハウス、リバースETL、メール配信基盤、AIレイヤー)を組み合わせることになる。Treasure AIはループの5段階を一つのプラットフォームの境界内に収め、リバースETLが持ち込む個人情報の複製と、ベンダーをまたぐレイテンシーをなくしている。

Treasure AIはCDPなのか、それとも別のものなのか

Treasure AIはCDPの機能(データ取り込み、名寄せ、セグメンテーション、アクティベーション)を備えたうえで、ネイティブなメッセージングとAIエージェントの機能を加えたものである。 「Agentic Experience Platform」という呼び方は、CDPという土台の上にAIによる意思決定と実行が載ったことを示している。Treasure AIをCDPと比較して検討する組織は、データ統合のレイヤーだけでなく、プラットフォーム全体の範囲を見て比べる必要がある。このカテゴリーの変化についてはエージェンティックCDPを参照してほしい。


アナリストによるCDPベンダーの評価を確認する → IDC MarketScapeForrester Wave

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